Beautiful Dreamer.

そんなワケで(先週と)今週の美鳥の日々

結局戻っちゃいました、くらいの軽いノリがこの作品にはよく似合う。作者もあんまり深く考えていなかったのかもしれないけど。

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さて前号(2003年1号)で美鳥はセイジに嘘でもいいから好きといってほしいと願う。
セイジはその言葉を言えない。この時点では美鳥に対する感情に整理がついていないのだ。好きという感情に気づこうとしていないのかもしれない。
この直後のコマ(1号P185)での美鳥の表情が非常に出色だ。寂しげにうつむいてはいるが、口元は微笑んでいる。

 私のことが「好き」じゃないんだ。
 でも軽々しく「好き」という言葉を使わなかった。
 それって却ってセイジ君の気持ちが垣間見えるよね…って都合良い解釈なのかな。

そんな感じ。こういう無言の一コマの描写、この作者は本当に上手いと思う。

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そして今号で、美鳥は一度本体に戻ったものの、セイジが美鳥のことを強い想う。美鳥はその想いに応えて再びセイジの右手となる。

美鳥は元の身体に戻っていたときの記憶はなく、
「眠っていただけですけど」「夢の中でセイジ君の声が聞こえた」
と言っている。

なるほど。ここまでヒントを出されたら分かるわな。美鳥が眠り姫だと言うときに気づくべきだった。


そう、美鳥は今、彼女自身の夢の中にいるんだ。
そして夢と現が逆転して、夢が実体化し、本体がひどく朧げな存在になっている。


最初の奇跡は、セイジが「彼女」の存在を強く望み、美鳥はその望みに応えた。
美鳥の家族の強い祈りで一度は本体に戻ったものの、セイジは美鳥のことを強く想う。

そして、奇跡はもう一度起こった。彼女は再び夢の中へ戻ってきた。

 ※「−本当!?」〜「ン?」(2号P173/4コマ目〜7コマ目)までの展開が第1話で美鳥が最初に出現する場面と全く同じ(2002年42号P13/4コマ目〜7コマ目)であることで奇跡の再来を示唆している。


しかし、夢からは必ず醒めなければならないものだ。


セイジはこのままではいけないと思いながらも、美鳥への想いに気づいてしまっている。
そして夢の中にいる美鳥は。これから何を想うことになるんだろう。

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で、ここからはまるで推測なのだが。

今回の展開を見るに、美鳥が夢から覚めたときにはセイジの右手である時期の記憶がなくなるっていう可能性もあるなぁ、と。

二人がお互いの気持ちを確認し合った後に、美鳥を元の身体に戻そうとする。
しかし彼女は身体に戻ったらセイジの右手であったころの記憶がなく、元の内気な少女に戻ってしまう。
当然セイジには美鳥との日々の記憶と、美鳥への気持ちがある。噛み合わない記憶。すれ違う感情。

そういう展開、面白いんじゃないかなぁ。
あ、でもこれたぶん違いますんで、その時は一緒に大笑いしましょう。>せ兄