夢十夜

嫁さんと死別する夢を見た。しかも結婚式から10日も経たずに俺が生き残される夢。

大宮そごう(やけにリアルだ)で買い物中に携帯にお義母さんから電話が掛かってくる。その報を聞いた俺は、立ちすくんでしまって動けない。そしてパニック。涙だけがボロボロ落ちてくる。
中学時代の友人に連れられてどうにか自宅(今の家ではないマンション)へ。布団に横たわるきれいな死に顔の彼女。そしてまた動けずに涙だけがボロボロと落ちる。
次にはもうお寺で喪服を着ている自分がいる。俺は自分が何を考えているんだか、何をしているんだか、全く分からない。今度はもう涙も出てこない。完全な虚脱感。
そして最後に納骨。雑司ヶ谷にある俺の家の墓に、俺の家の人になってたった数日だった彼女が入る。鬱蒼とした森の中。蝉の声。遠くチンチン電車の音。切り取られた風景ばかりが思い出されるが、そこでは再び大粒の涙を流していた。

そこで、がばっと布団から飛び起きた。ここは雑司ヶ谷霊園じゃない。新居でもない。津田沼の、今の、俺の部屋。朝の5:00。恐ろしいほど頭痛がする。眼には本当にボロボロ泣いていた跡があった。

そんな夢。

嫁さん役が「君望」の遥だったのがかなりアレなのだが(実在の人間以外が夢に出てくるのは本当に初めてだった)、そんなことどうでもいいくらいのリアリティがあった。
まだ内容が鮮明に思い出せる。そごうの店内アナウンスも、家の窓から見える薄曇りだった空も、夕暮れの寺院も、霊園の蝉の音も怖いくらいよく覚えている。
おかげさまで今日一日いっぱいは、本当にずっと頭痛がしていたし、仕事もあまり手に付かなかった。ずっと夢のことばかり考えていた。

無学な俺はフロイトも読んだことがない。この夢はどういう意味だったんだろう?本当に不思議な気分だ。
ひょっとして墓の前で百年待てば、もう一度彼女に会えるのかもしれない。などと甲斐のないことをふと考えてみた。